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【図面設計者向け!】黒色メッキの種類や特性を解説

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黒色メッキの種類には、次のようなものがあります。

  • 低温黒色クロムめっき
  • 黒クロムメッキ
  • 亜鉛メッキの黒色クロメート
  • 黒ニッケルメッキ
  • 黒色無電解ニッケルメッキ

黒色メッキは、製品の外観や機能性を向上させるために重要な金属加工技術です。 設計や製造の現場では、その低反射性、乱反射防止、耐久性、防錆性といった特性が求められるケースが多く見られます。

しかし、黒色メッキと一口にいっても、その種類や用途には大きな違いがあります。 特に、黒染めや黒クロムメッキといった代表的な手法は、それぞれの特徴を理解して適切に選択することが重要です。

そこで本記事では、黒色メッキに関する基本知識から、種類別の特性や注意点までを解説します。 設計者の皆様が最適なメッキ処理を選択するための参考にしてください。

黒色メッキの特性

黒色メッキは、製品の外観を向上させるだけでなく、特定の機能を付与する金属処理技術です。
以下で、黒色メッキの代表的な特性を詳しく解説します。

低反射性

艶消し黒色メッキの最も特徴的な特性の一つが、光の反射を抑える「低反射性」です。

艶消し黒色メッキの低反射性が、光学機器やカメラ部品など、正確な光制御が必要とされる分野で広く使用されています。
また、軍事用機器や航空宇宙分野でも、外光を反射しない特性を活かし、機能性と外観の両立を実現しています。

耐久性

黒色メッキは、耐摩耗性と耐久性に優れており、長期間の使用にも耐える加工が可能です。

特に、低温黒色クロム処理では、メッキ層が硬質でありながらも基材に対する密着性が高く、機能性物質を付与する事で衝撃や摩耗に対する耐性を向上させています。

このため、自動車部品や産業機械の可動部分、また、精密機械部品においても信頼性の高い選択肢として採用されています。

防錆性

防錆性は、黒色メッキの重要な特性の一つです。

特に屋外や高湿度環境で使用される部品において、メッキ加工は腐食を防ぎ、製品の寿命を延ばします。

防食性

防食性も黒色メッキの大きな特長です。
金属部品は、異種金属と触れることで電位差腐食を起こします。
クロム酸化物皮膜は電位を持たないため、電位差腐食を防止する事ができます。

特に、低温黒色クロム処理では、クロム酸化物の割合が多く絶縁皮膜となります。
また、機能性物質を含侵させることにより、過酷な環境下での使用に適しています。

「黒染め」との違い

「黒色メッキ」と「黒染め」は混同されがちですが、それぞれ異なる技術です。
黒染めは金属の表面をアルカリ処理することで酸化皮膜を形成し、金属表面を黒化させる処理で、コストが低く、加工が容易な点が特徴です。

しかし、防錆性や耐久性は黒色メッキに劣ります。

一方、黒色メッキは、メッキ層を付与することで耐久性と防錆性を向上させる技術です。
高い機能性が求められる部品に適しています。

黒色メッキの種類

黒色メッキは、外観の向上だけでなく、防錆性や耐久性などの機能性を付加するために重要な加工技術です。

ここでは、黒色メッキの主要な種類について、それぞれの特性と用途を解説します。

黒クロムメッキ

黒クロムメッキは、クロムをベースにしたメッキ処理で、特徴的な黒色の外観と高い耐久性を兼ね備えています。
特に防錆性が求められる環境で効果を発揮し、航空宇宙や自動車部品の分野で広く使用されています。

また、黒クロムメッキは耐熱性にも優れており、高温下でも性能を維持するため、エンジン部品や熱交換器などにも適しています。

但し問題点もあり、黒クロム皮膜はポーラスな皮膜となるため、黒クロム皮膜だけでは酸素透過による素材の酸化(錆)を防ぐことはできません。

亜鉛メッキの黒色クロメート

亜鉛メッキの黒色クロメート処理は、コストパフォーマンスに優れた防錆手法です。

亜鉛メッキの上に黒色のクロメート処理を施すことで、外観に黒色を付与しつつ、耐食性を向上させます。
主に建築用金属部品や家庭用電気製品などで使用されることが多いです。

ただし、クロメート処理には有害物質を含む六価クロムが使用されている場合があり、環境規制を考慮する必要がある事や、化学反応により黒色化するため、均一な黒の色調にはなりません。

黒ニッケルメッキ

黒ニッケルメッキは装飾性が高く、黒色の美しい外観を持つメッキ処理です。
特に、装飾性が求められる時計やアクセサリーなどの製品で利用されています。

耐食性は他の黒色メッキと比べて劣る場合がありますが、適切な保護膜と組み合わせることで実用的な用途が広がります。

黒色無電解ニッケルメッキ

黒色無電解ニッケルメッキは、電気を使用せずに金属表面を黒化する技術で、均一なメッキ層が得られる点が特長です。
複雑な形状の部品でも均一な皮膜生成が可能であり、防食性と導電性を兼ね備えています。

そのため、電子部品や精密機器での使用が一般的です。

ワイピーシステム独自の処理技術『低温黒色クロム処理(CBC処理)』

ワイピーシステムでは、独自の処理技術『低温黒色クロム処理(CBC処理)』を開発・提供しております。

低温黒色クロム処理(CBC処理)とは?

低温黒色クロム処理(CBC処理)は、ワイピーシステムが提供する独自の金属表面処理技術で、金属表面に艶消し黒色の高機能な被膜を析出させます。

めっき被膜・塗装被膜共に、長所短所があり使用環境や用途によって 使い分けられていますが、低温黒色クロムは、めっき被膜・塗装皮膜の長所を兼ね備えた被膜です。

低温黒色クロム処理(CBC処理)の特徴

低温黒色クロム(CBC処理)はセラミック被膜である為、局部電池を作らず「防食性能」に 優れています。

また、セラミックやフッ素化合物などを含浸一体化する事により、皮膜表面のクラックを減少し酸素透過を防ぐことで「防錆性能」も持っている皮膜です。

さらに、セラミックやフッ素化合物含浸により「乱反射防止性」「耐熱性」「耐薬品性」「耐摩耗性」等 が機能付与されます。

低温黒色クロムは被膜中に残留する6価クロムイオンを、抽出除去するため、RoHS指令に対応しています。
詳しくは、「低温黒色クロム処理とは?」のページをご覧ください。

黒化処理工程での危険性や問題点

黒化処理工程には、製品に優れた防錆性や美観を付加する一方で、環境や人体に影響を及ぼす恐れがあります。

環境に及ぼす影響

黒化処理工程では、化学薬品を使用して金属表面に黒色被膜を形成しますが、この際に環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

廃液の処理問題

黒化処理に用いられる薬品には、酸やアルカリ、重金属化合物が含まれる場合があります。
これらの廃液が適切に処理されずに排出されると、土壌や水質汚染の原因となります。
特に、6価クロムを含む処理では、環境への負荷が大きくなります。

大気への有害物質の排出

処理中に発生する揮発性物質が大気中に排出されることがあります。
このため、地球温暖化や酸性雨などの環境問題を引き起こす恐れがあります。

規制の強化

環境保全の観点から、RoHS指令やREACH規制など、国際的な法規制が年々強化されています。
特に6価クロムを含む処理技術は、これらの規制に抵触するリスクが高いため、代替技術の導入が急務となっています。

しかしながら6価クロムを使用しない艶消しの黒色皮膜は、性能の良い皮膜の析出が難しく、低温黒色クロムのように、皮膜に残留する6価クロムイオンを除去する等、新しい技術が求められています。

人体に及ぼす影響

黒化処理における作業環境が適切でない場合、作業者の健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

処理中に使用される薬品が皮膚や目に触れると、火傷や炎症を引き起こすことがあります。
また、揮発性化学物質を長期間吸入すると、呼吸器系に深刻なダメージを与える可能性があります。

作業者が安全に黒化処理を行うためには、適切な換気設備や防護服の使用が必要です。
人体へのリスクを大幅に軽減する手段としては、3価クロムを使用する技術への移行が注目されています。

まとめ

黒色メッキの正しい選択と活用は、製品の競争力を高めるだけでなく、環境規制への対応や持続可能な製造の実現に直結します。
設計者の皆様には、最新の技術情報を把握し、自社のニーズに合った最適な処理方法を採用することをおすすめします。

製品の性能向上と環境配慮を両立する技術の詳細を知ることで、設計業務における新たな可能性を見出すことができるでしょう。

低温黒色クロム処理は、めっき被膜・塗装皮膜の良いところ取りをした、安全なめっき処理技術です。
「こういった内容は対応できるか?」など、アバウトな内容でも相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
低温黒色クロム処理について詳しくは、「低温黒色クロム処理とは?」のページをご覧ください。

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