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メッキとは何か?基本と設計や製造現場で役立つ知識

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メッキとは、金属や非金属の表面に別の金属薄膜を被覆する技術のことです。

メッキは製造業において、製品への機能付与や美観を高めるために欠かせない技術です。
製造業界では、精密機器や機械産業において、めっき皮膜の持つ特性が求められています。

近年では、低温黒色クロム処理などの新技術も登場し、製品機能性の向上や環境負荷低減が重要視されています。

この記事では、メッキの基本知識から現場で役立つ応用技術までを詳しくご紹介していきます。

メッキとは?

メッキとは、金属や非金属の表面に別の金属薄膜を被覆する技術のことで、主に、製品の機能付与や、耐食性、美観性等を向上させる目的で利用されます。
たとえば、機械部品や電子機器部品、自動車パーツ、さらには装飾品に至るまで、さまざまな産業分野で活用されています。

メッキは、以下のような目的で広く使用されています。

  • 耐久性の向上…摩耗や腐食から製品を保護し、寿命を延ばします。
  • 美観性の向上…金メッキや銀メッキなどで、高級感や美しい外観を付加します。
  • 電気伝導性の付与…電気伝導性の向上により、電子機器の性能を高めます。
  • 特定機能の追加…耐熱性や絶縁性、反射性を付加することで、製品の特性を向上させます。

メッキの種類とそれぞれの特徴

以下で、代表的な金属メッキの種類とその特徴について解説します。

金メッキ

金メッキとは、真鍮などの金属に金箔を被覆する技術のことです。
優れた電気伝導性、耐食性、美観性を持ち、特に電子部品や高級装飾品に使用されます。
酸化しにくく、長期間美しい光沢を保つため、機能性と装飾性の両方を兼ね備えています。

金メッキの主な使用例

  • 精密電子機器のコネクタや端子
  • 高級時計やアクセサリー
  • 航空宇宙産業の電子部品

金メッキのメリット・デメリット

  • メリット…優れた耐食性・電気伝導性、美しい仕上がり
  • デメリット…高コスト、素材への密着性に制限がある

銀メッキ

銀メッキとは、対象物に銀を被覆する技術のことです。
銀メッキは、電気伝導性が非常に高く、熱伝導性にも優れています。特に電子部品や導電性が求められる製品に適しています。

一方で、空気中の硫黄成分と反応して変色しやすい点がデメリットです。

銀メッキの主な使用例

  • 電気・電子機器の接点
  • 半導体部品
  • 食器類や高級装飾品

銀メッキのメリット・デメリット

  • メリット…優れた電気・熱伝導性、比較的コストが抑えられる
  • デメリット…硫化による変色、耐食性が低い

銅メッキ

銅メッキとは、対象物に銅を被覆する技術のことです。
銅メッキは高い導電性と優れた密着性を持ち、メッキの下地処理や中間層として広く利用されます。

特に、ほかのメッキを密着させるための下地材として優秀です。

銅メッキの主な使用例

  • 電子基板の下地処理
  • 自動車部品の防食層
  • 各種工業用部品

銅メッキのメリット・デメリット

  • メリット…優れた導電性・密着性、下地材として最適
  • デメリット…単体での耐食性は低い、空気中で酸化しやすい

ニッケルメッキ

ニッケルメッキとは、対象物にニッケルを被覆する技術のことです。

ニッケルメッキは、耐食性、耐摩耗性、装飾性が高く、幅広い分野で使用されています。
また、耐熱性や磁気特性も備えているため、工業製品や電子部品にも多く利用されています。

ニッケルメッキの主な使用例

  • 自動車部品や機械部品
  • 電子機器のコネクタや端子
  • 装飾用金属製品

ニッケルメッキのメリット・デメリット

  • メリット…優れた耐食性・耐摩耗性、コストパフォーマンスが良い
  • デメリット…厚膜メッキの場合、脆性が発生することがある

メッキの機械的特性

メッキ技術は、製品や部品の表面にさまざまな特性を付与することで、製造現場において極めて重要な役割を果たしています。

ここでは、メッキが持つ主な機械的特性について解説し、それぞれの特性が製品性能にどのように寄与するかを説明します。

耐久性(耐摩耗性、耐熱性)

メッキには、耐久性(耐摩耗性、耐熱性)があります。

耐摩耗性

メッキは製品表面に硬度を与え、摩擦や衝撃に対する耐性を高めます。
特に、ニッケルメッキや硬質クロムメッキは、機械部品や自動車部品の耐摩耗性向上に広く使用されています。

耐熱性

一部のメッキは高温環境下でも性能を維持する特性を持っています。
たとえば、硬質クロムメッキは耐熱性に優れ、高温でも硬度や耐摩耗性を保つことができます。

耐久性(耐摩耗性、耐熱性)を活かした使用例

  • 自動車のエンジン部品
  • 高温環境下で使用される産業機械部品

耐食性(錆び防止、耐薬品性)

メッキには、耐食性(錆び防止、耐薬品性)もあります。

耐食性(錆び防止)

メッキは基材を酸化や腐食から保護し、製品の寿命を延ばします。
特に亜鉛メッキや無電解ニッケルメッキは、耐食性に優れており、屋外設備や海水環境下での利用に適しています。

耐薬品性

薬品や溶剤に対する耐性もメッキの重要な特性です。
特に、クロムメッキは、化学工場や医療機器において、薬品への耐性を維持しつつ長期間安定した性能を発揮します。

耐食性(錆び防止)を活かした使用例

  • 精密機器
  • 汎用機械
  • 化学プラントの配管
  • 医療機器

電気特性(伝導性、絶縁性)

メッキには、電気特性(伝導性、絶縁性)もあります。

電気伝導性

金メッキや銀メッキは、非常に優れた電気伝導性を持ち、電子機器や精密機器の端子・コネクタに使用されます。
これにより、安定した電流の流れを確保し、信頼性の高い接続を実現します。

絶縁性

逆に、絶縁特性を持つめっき皮膜も存在します。黒クロムめっきはクロム酸化物皮膜の為、電機を通さない性質を持ちます。また、絶縁特性だけでなく多くの機能を付与する低温黒色クロムめっきもあります。

電気特性(伝導性、絶縁性)を活かした使用例

  • 電子機器端子・コネクタ
  • 絶縁用部品

潤滑性(摺動性、離型性)

メッキには、潤滑性(摺動性、離型性)もあります。

摺動性

メッキ表面は摺動抵抗を低減し、摩擦を軽減する役割を果たします。
特に、フッ素樹脂含有のニッケルメッキやフッ素化合物含有の低温黒色クロムめっきは、高い摺動性を持ち、精密機械や可動部品に適しています。

離型性

型から材料を取り外す際の離型性も、特定のメッキ技術で向上します。
たとえば、硬質クロムメッキは金型の離型性を向上させ、生産効率を高めます。

潤滑性(摺動性、離型性)を活かした使用例

  • 金型
  • 精密機械部品

美観(装飾性、光学特性)

メッキには、美観を高める効果もあります。

装飾性

金メッキやクロムメッキは、美しい光沢と高級感を製品に与えます。
特に、装飾目的で使用される場合、見た目の品質が重要視されます。

光学特性

光を反射または吸収する特性も、メッキによってコントロールされます。
特に、低温黒色クロム処理は、反射を抑えつつ美観を維持する技術として注目されています。

装飾性・光学特性を活かした使用例

  • 高級装飾品
  • 光学機器

密着性(塗装や溶接性の向上)

メッキは、基材とほかの材料との密着性を向上させる役割を持ちます。
銅メッキやニッケルメッキは、塗装や追加加工前の下地処理として使用されることが多く、製品全体の性能を底上げします。また、低温黒色クロム皮膜を利用した塗料の密着性を向上させる技術もあります。

密着性を活かした使用例

  • 自動車ボディ塗装の下地処理
  • 各種塗装下地
  • 溶接部品の前処理

特殊な磁気・光学特性の付与

磁気特性を持つメッキは、特定の用途に使用されます。
たとえば、磁性ニッケルメッキは、磁気特性を活かした機械部品や電子機器で利用されています。

特殊な磁気・光学特性を活かした使用例

  • 磁気記録部品
  • 電子センサー

防湿性(耐水性、湿気防止)

メッキ層は、湿気や水分の浸透を防ぎ、基材の腐食を防止します。
特に、亜鉛メッキやニッケルメッキは防湿性が高く、屋外使用や湿潤環境での使用に適しています。

防湿性(耐水性、湿気防止)を活かした使用例

  • 屋外構造部品
  • 防水用電子機器

サイズ補正と平滑化

メッキは、微細な凹凸を埋め、表面を平滑化する役割を持ちます。
また、部品の寸法補正にも使用され、精密な寸法管理が必要な場面で活躍します。

サイズ補正と平滑化を活かした使用例

  • 精密機械部品
  • 電子基板

メッキの処理方法と工程

メッキ技術は、さまざまな方法と工程を経て製品の表面に特性を付加します。
ここでは、代表的なメッキ処理方法とその加工工程について解説します。

主なメッキの処理方法

メッキ技術は、さまざまな方法と工程を経て製品の表面に特性を付加します。
ここでは、代表的なメッキ処理方法とその加工工程について解説します。

電気メッキ

電気メッキとは、電解液中で製品を陰極にし、金属イオンを還元させることで表面に金属膜を形成する技術です。
一般的に、均一で美しい仕上がりが得られます。

■電気メッキの主な用途
  • 電子機器部品
  • 自動車部品
  • 装飾用金属製品
■電気メッキのメリット・デメリット
  • メリット…処理できる製品が多種多様、めっき膜を厚付けする事ができる、装飾性が高い
  • デメリット…均一に皮膜厚を付けることが難しい(精度維持が困難)複雑な形状には不向き、ピンホールの発生

無電解メッキ

無電解メッキとは、電気を使わず化学反応により金属を析出させる方法です。
均一なメッキ膜を形成できるため、複雑な形状にも適しています。

■無電解メッキの主な用途
  • 精密機械部品
  • 電子基板
  • 医療機器
■無電解メッキのメリット・デメリット
  • メリット…均一な膜厚、複雑形状にも対応可能
  • デメリット…電気メッキよりコストが高い場合がある

乾式メッキ

乾式メッキとは、真空蒸着やスパッタリング技術を用いて金属を蒸発・噴霧し、製品表面に金属膜を形成する方法です。
主に、高精度が求められる部品に使用されます。

■乾式メッキの主な用途
  • 半導体部品
  • 光学部品
  • 精密機器
■乾式メッキのメリット・デメリット
  • メリット…高精度な薄膜が形成可能
  • デメリット…大量生産には不向き、高コスト

置換メッキ

置換メッキとは、金属イオンと基材の金属が化学的に置換反応を起こすことで金属膜を形成する技術です。
主に、下地処理や補修に使用されます。

■置換メッキの主な用途
  • 補修部品
  • 下地メッキ
  • 特殊部品
■置換メッキのメリット・デメリット
  • メリット…複雑な表面にも適応、コストが低い
  • デメリット…精度が低くなる場合がある

メッキの加工工程

メッキの加工工程は、大きく「前処理」「本処理」「後処理」に分かれます。

前処理

前処理は、メッキを行う前に製品表面をきれいにし、めっき皮膜が素材に密着するようにする工程です。
前処理が不十分だと、めっき皮膜の析出に支障をきたし、密着性の低下や外観不良等、品質が低下します。

■前処理での主な作業
  • 脱脂…油脂や汚れを除去する
  • 酸洗浄…酸化膜や酸化物の除去
  • 表面活性…軽いエッチング及び酸化膜の除去

本処理

本処理は、実際にメッキを施す工程です。
各メッキ技術(電気メッキ、無電解メッキ、乾式メッキなど)に応じて処理方法が異なります。

■本処理での主な作業
  • 電解槽への浸漬…電気メッキでは電流を流すことで金属膜を析出
  • 化学反応…無電解メッキでは化学反応により金属膜を形成
  • 乾式蒸着…真空下で金属蒸気を堆積
  • 品質管理…安定した皮膜を析出させるために、使用する処理液の温度や濃度、pH等の管理をすることが重要

後処理

後処理とは、メッキ膜の品質をさらに向上させ、耐久性や美観性を高める工程です。
後処理が不十分だと、メッキの耐久性や美観性が低下することがあります。

■後処理での主な作業
  • 水洗…メッキ液や残留物を除去
  • 乾燥…水分を完全に除去
  • 仕上げ…磨きやコーティングを施し、外観と性能を向上

製造現場で活用されるメッキの応用例

メッキ技術は単なる表面処理にとどまらず、さまざまな業界で重要な役割を果たしています。
電子部品、機械部品、医療分野など、それぞれの分野でどのようにメッキが活用されているのか、その応用例を具体的にご紹介します。

半導体製造装置での活用例

半導体製造装置におけるめっき技術は、主に精密性、皮膜性能を生かした機能性の向上を目的として使用されています。

放熱性

半導体製造装置に使用される部品には放熱性を欲する部品があり、黒色のめっき皮膜が多く使用されています。

  • 使用メッキ…低温黒色クロム、黒ニッケル、塗装

精密性

半導体製造装置に使用される部品は精密性を求められる部品が多くあります。また、部分めっきや特殊なめっき皮膜が使用されております。

  • 使用メッキ…無電解ニッケルめっき、無光沢ニッケルめっき、部分めっき

光学機器での活用例

光学機器では光の乱反射防止目的や画像解像度の向上、また、ステージの摺動性を目的として使用されています。

乱反射防止

光やレーザー照射の乱反射防止を目的として、黒色のめっき皮膜が多く使用されています。

  • 使用メッキ…低温黒色クロム、黒ニッケル
  • 応用例…対物レンズ、画像解像装置、測定機器

摺動性

ステージの摺動性能向上を目的として、摺動性の高いめっき処理が使用されています。

  • 使用メッキ…低温黒色クロム(フッ素化合物含侵)、無電解ニッケル、硬質クロム
  • 応用例…ステージ、ダイアル

液晶分野での活用例

液晶分野では露光装置の部品や洗浄工程等で使用される部品にめっき処理が使用されています。

密着性

使用されるレンズに対する悪い影響を防止する目的として、密着性の高いめっき皮膜が多く使用されています。

  • 使用メッキ…無電解ニッケルめっき、低温黒色クロム、黒色アルマイト

乱反射防止

光照射時の乱反射防止や遮断目的として黒色のめっき皮膜が多く使用されています。

  • 使用メッキ…低温黒色クロム、黒色アルマイト、黒ニッケル
  • 応用例…露光装置鏡筒、シャッター

まとめ

メッキ技術は、製品の耐久性、美観性、機能性を飛躍的に向上させる重要な技術であり、製造業のあらゆる分野で欠かせない存在となっています。
金属表面を保護し、耐食性や耐摩耗性を高めるだけでなく、電気伝導性や絶縁性、さらには装飾性など、さまざまな機能を付与することが可能です。

電子部品、機械部品、医療機器など、多岐にわたる分野でその効果が証明されており、今後もさらなる技術革新が期待されています。

製造現場や設計に関わる技術者や担当者は、各メッキ技術の特性を理解し、製品や用途に最適な技術を適用することで、競争力のある製品づくりを進めることができるでしょう。

なお、ワイピーシステムでは、被膜中に残留する6価クロムイオンを抽出除去する低温黒色クロム処理を承っております。RoHS指令に対応した、環境や人にやさしい技術です。

低温黒色クロム処理について詳しくは、「低温黒色クロム処理とは?」のページをご覧ください。

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